未経験からインフラエンジニアを目指している方や、駆け出しや中堅のインフラエンジニアにとって、インフラエンジニアに将来性があるのかどうかいうのは、非常に気になるところではないでしょうか。
クラウド技術、自動化技術、AIを始めとしたIT技術の発展によって、将来的に多くの仕事がなくなるのではないか?と言われてます。果たして、10年後にインフラエンジニアの仕事はあるのだろうか?と不安に感じる人も多いでしょう。
ITインフラ技術の進歩にともなって、インフラエンジニアが担当する業務は大きく変わりつつあります。インフラエンジニアには、従来必要だったスキルに加えて、これから求められる技術に対応できる人が長く活躍できるが予想されます。
今回の記事では、インフラエンジニアの将来性、今後求められるスキル・資格などについて解説します。
目次
【どうなる?】インフラエンジニアの将来性について【徹底解説】
インフラエンジニアとは
インフラエンジニアとは、主にサーバーやネットワークなどの「ITインフラ」の設計・構築・運用保守を行うエンジニアです。
本ブログでは、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアのように、一部のITインフラ分野に特化したエンジニアなどを含めたITインフラをメインで仕事を行うエンジニアのことをインフラエンジニアと指すこととします。
インフラエンジニアの仕事内容などについては【ゼロからわかる】インフラエンジニアとは?仕事内容・年収・将来性などで解説してます。
「オンプレミス」から「クラウド」の移行が加速
インフラエンジニアの仕事は「オンプレミス」から「クラウド」への移行が加速しています。
これまでのインフラエンジニアの仕事は「オンプレミス(オンプレと略す場合もある)」というITインフラの運用方法(自社やデータセンターなどにITインフラ機器を構築して運用する方法)が主流でした。
オンプレミスでは、ITインフラ機器を自社で自由に選べる反面、自社内でITインフラ機器を構築・運用するため、初期導入コストが高く、管理・維持・拡張する場合などにも時間・金額・人材面でコストがかかるのが課題でした。
オンプレからクラウドへの移行によって、企業は自社でサーバーなどを保有・管理する必要がなくなりました。クラウドサービスを利用することによって、必要な量やスペックのみのITインフラの利用が可能となり、初期導入コストのダウンや拡張もスムーズにできるなど、多くのメリットがあります。
未経験OKで募集されることも多いインフラエンジニアですが、上記のようにITインフラのクラウド化が進む中で、インフラエンジニアの仕事内容や必要とされるスキルも変化しつつあります。
インフラエンジニアの将来性が高い3つの理由
クラウド化や自動化が進むIT業界の中でインフラエンジニアの仕事もなくなるのではないかと言われることもありますが、他の業界や職種に比べて、将来性が高いと言える3つの理由を解説します。
1.IT業界は不景気に強い
インフラエンジニアは不景気の影響を受けにくい仕事と言われます。
2020年のコロナショックでは、観光業界や飲食業界をはじめとして、日本だけでなく世界中が経済的なダメージを受けました。
IT業界も、コロナショックの影響により、コロナ以前の成長曲線にブレーキがかかった企業は多くあります。
ですが、そのような中でもリモートワークの推進が進んだり、オンライン市場が活性化しました。また、以下のデータから分かるように、転職市場ではリモートワークが可能な働き方やスキルがつくなどの理由から、改めてIT業界への人気が集まり、転職希望者が急増してます。
以上のようなことから、IT業界は不景気に強く、インフラエンジニアの将来性が高い理由の一つと言って良いでしょう。
私が仕事をするITインフラの現場でも自社や取引先で急速にリモートワークが進み、ほとんどの人は在宅勤務になり、リモートワークするためのITツールが導入されたりしました。
2.IT業界は成長市場である
IT業界は成長市場です。今後も、IT技術・IT人材の需要は高まり続けることは容易に想像がつきます。
総務省が公表しているデータでも、IT業界(情報通信産業)の国内市場規模は約100兆円と最も大きく、全体の10%を占めているのが分かります。
引用:総務省「平成30年度 ICTの経済分析に関する調査」
世界的に見ても、世界時価総額ランキング上位10社のうち、8社は「Apple」「Microsoft」「Amazon」など誰もが知るIT企業です。
以上のことから、IT業界は私達の生活に大きな影響を与えており、ITインフラを支えるインフラエンジニアの需要や仕事がなくなることもないと考えられるので、インフラエンジニアの将来性は高いと言えるでしょう。
3.ITエンジニアは手に職がつく仕事である(スキルが身につく)
インフラエンジニアをはじめとしたITエンジニアは、手に職がつく(スキルが身につく)仕事です。
実務経験を積み重ねたり、IT資格を取得することで、どこにでも通用する「職人」のような人となります。
手に職をつける最大のメリットととして、安定した収入が得られることでしょう。勉強してスキルを上げることで専門性も高まり、収入も上がる傾向があります。
もし会社が倒産してしまっても、手に職があれば、違う会社で同じ職種で働き続けられますし、場合によってはフリーランスなどで独立することも可能です。また、手に職をつけられるということは、その仕事が好きだったり、その仕事が自分に合っているということです。
以上のように、手に職がつけられるため、インフラエンジニアは将来性が高い仕事と言えます。
インフラエンジニアは年収アップが期待できる仕事
インフラエンジニアの平均年収は400~500万円なので、日本人の平均年収の約436万円に比べるとやや高い傾向にあります。
インフラエンジニアは、実務経験や資格取得などでスキルアップするほど給与や役職も上がっていきやすく、給与面の不安はあまりないでしょう。
インフラエンジニアとして高収入を目指すには、大企業や外資企業に転職したり、出世してマネジメントする立場になる、フリーランスとして独立したりする、などが挙げられます。
インフラエンジニアのキャリアパス
インフラエンジニアの代表的なキャリアパスには「マネージャー」「スペシャリスト」「コンサルタント」の3つがあります。
それぞれのキャリアについて解説します。
スペシャリスト
インフラエンジニアのスペシャリストとは、技術を極めたエンジニアのことを指します。インフラエンジニアとして、知識とスキルを高めたい人は、スペシャリストを目指すことをおすすめします。
インフラエンジニアのスペシャリストにとって大切なことは、もちろん「知識や技術を向上する」ことです。基礎的な知識はもちろん、仮想化やクラウドの技術など、一般的なインフラエンジニアより、高度な技術が求められます。
また、変化の激しいIT業界では「最新技術の情報収集」をすることも必要不可欠です。IT業界で求められている技術について、常にアンテナを立てて、取り組むべき技術を見極めることが求められます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体をマネジメントするポジションの人を指します。
チームやプロジェクト内でリーダーシップを取って指揮したいという人におすすめです。
インフラエンジニアの仕事は、プロジェクトの規模が大きく、プロジェクトに関わる会社やエンジニアの要因が多くなることが一般的です。プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体や自分のチームのまとめ役となり、進捗管理やトラブル対応などに責任を持って、マネジメント業務を行います。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を使ってクライアント(企業・顧客)の経営課題を解決することを仕事とする人のことを指します。
コミュニケーション力、ヒアリング力、企画・提案力、論理的思考、広く深い専門知識、など、ITコンサルタントには幅広い知識とスキルが求められます。
プロジェクトマネージャー同様、広範囲なスキルと責任力が求められる仕事ですが、その分、大幅な年収アップが見込めるポジションです。
エンジニアとして培ってきた知識・経験をより上流工程での活躍を目指すのであればおすすめです。
インフラエンジニアのキャリアパスについては、インフラエンジニアのキャリアパス【未経験・経験者どちらにも解説】でも詳しく解説してます。
インフラエンジニアの将来性を高めるためのスキル・資格
インフラエンジニアの将来性を高めるために求められる技術面と対人面のスキルと、役立つ資格に解説します。
インフラエンジニアに求められるスキル(技術面)
- オンプレミスの構築スキル
オンプレからクラウドへの移行が加速していますが、とは言え、オンプレミスが完全にはなくなるわけではありません。物理的なネットワークやサーバーの設計・構築スキルはこれからも求められ続けます。 - クラウドサービスを扱うスキル
クラウドサービスを扱うスキルは、これからのインフラエンジニアに必須なスキルです。AWSやMicrosoft Azureなどの大手クラウドサービスを使ったITインフラの構築・運用をするスキルが求められます。
ただ、各種ソフトのインストールや設定をする場所がクラウド上にあるというだけで、ネットワーク知識の基礎や、LinuxなどのOS、データベースなどのソフトはこれまでと変わらず使い続けることができます。 - プログラミングスキル
インフラエンジニアがプログラミングスキルをつける理由としては、クラウドサービスの進化に伴って、ネットワークやサーバーの設定はプログラミングですることが可能となったからです。
クラウドサービスでは、LL言語(軽量プログラミング言語:Lightweight Language)を使うことが多いため、PythonやRubyといったLL言語を学ぶと良いでしょう。
インフラエンジニアに求められるスキル(対人面)
- コミュニケーションスキル
インフラエンジニアの上流工程である設計・構築では、顧客やチームメンバーとコミュニケーションを取りながら仕事をすすめるため、当然ながらコミュニケーション力が求められます。
駆け出し・中堅エンジニアであっても、チーム内でトラブルなくスムーズに仕事を進めるためには、細かなコミュニケーションが必要です。 - ヒアリングスキル・提案スキル
ITインフラの要件定義の段階では、顧客の要望を正確にヒアリングして、その要望を満たすITインフラを提案することになるため、高いヒアリング力と提案力が求められます。
駆け出し・中堅エンジニアであっても、上司や先輩から任された仕事を正確にヒアリングして期待する成果を上げたり、業務改善をしたい場合は提案力が求められます。 - マネジメントスキル
マネジメントスキルは、リーダー以上のインフラエンジニアを目指すうえで必要不可欠なスキルです。
駆け出し・中堅エンジニアであっても、与えられた期限までに自分のタスクを完成させたり、チーム全体の進捗を確認しながら仕事を進めていく必要があるため、どのような工程でもマネジメントスキルは求められます。
インフラエンジニアに役立つ資格
- 【ネットワーク技術】シスコ技術者認定(シスコシステムズ)
ネットワーク機器ベンダー大手のシスコシステムズの認定資格です。
ネットワークの基礎から応用、ネットワークセキュリティについてのスキルが身につき、CCNAはネットワークエンジニアの登竜門と言われる資格です。
2020年に大幅改定されたCCNAについては【CCNA大幅改定!】改定後の内容・試験範囲・受験料・勉強方法などを紹介で解説してます。
- 【サーバー/OS】LPIC/LinuC
サーバーのOSとしてオンプレ・クラウドの両方で高いシェアをもつLinuxの認定資格です。
LPICもLinuCともLinuxの認定資格です。LPICとLinuCは運営元が異なり、LPICが世界標準の資格であるのに対して、LinuCは日本市場向けの資格である、という違いがあります。
- 【データベース/SQL】ORACLE MASTER(オラクルマスター)
ORACLE MASTER(オラクルマスター)は、データベースの知識・技術を証明する資格で、日本オラクルの認定資格です。
サーバーの管理・運用において、データベースのスキルは欠かせないものであり、インフラエンジニアとしてのキャリアパスに幅を広げることができます。 - 【クラウド】AWS認定・Microsoft Azure認定
クラウドに関する資格として代表的なものは、Amazonが運営する「AWS認定資格」と、Microsoftが運営する「Microsoft Azure認定」があります。両者とも、様々なコースがあるため、現場で求められているスキルに応じた資格を取得すると良いでしょう。 - 【ITマネジメント】ITIL
ITILとは、「Information Technology Infrastructure Library」の頭文字を取った略称であり、ITシステムの安定運用に必要な「ITサービスマネジメント」の考え方が身につく世界的な認定資格です。
多くのIT企業では、ITILの取得を推奨しており、必須資格と定めている企業もあるほどです。
まとめ
- インフラエンジニアの仕事は、オンプレからクラウドへの移行が加速する
- インフラエンジニアの将来性が高い理由:「不景気に強い」「成長産業である」「手に職がつく」
- インフラエンジニアの代表的なキャリアパス:「スペシャリスト」「プロジェクトマネージャー」「ITコンサルタント」
- インフラエンジニアの将来性を高める方法:技術面・対人面のスキルを高める、資格取得に励む
この記事ではインフラエンジニアの将来性が高い理由や、今後求められるスキル・資格などについて解説しました。
未経験からインフラエンジニアを目指したい、IT業界にいるけど開発職からインフラエンジニアにジョブチェンジしたいと考えている人は、転職エージェントや転職サイトを利用するのがおすすめです。
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