インフラエンジニアのキャリアパス【未経験・経験者どちらにも解説】

未経験からインフラエンジニアとしてキャリアアップを目指すには、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか。

インフラエンジニアのキャリアパスは幅が広く、かつ、奥が深いため、自分の現在地を知り、目標に向かってスキルアップしていく必要があります。

  • インフラエンジニアにはどのようなキャリアパスがあるのか知りたい
  • インフラエンジニアとして市場価値を上げて年収アップしたい
  • インフラエンジニアとして、5年後、10年後、どのようにキャリアップすればいいのか知りたい
  • 女性のインフラエンジニアはどのようにキャリアアップしているのか知りたい

この記事では、このような疑問や悩みがある方に向けて、未経験インフラエンジニアのキャリアパス、一人前インフラエンジニアのキャリアパス、キャリアアップにするべき資格取得などについて紹介します。

インフラエンジニアの将来性

結論から言うと、インフラエンジニアの将来性は明るいと言えます。

なぜなら、時代によって求められるIT知識・技術は変わりますが、インフラエンジニアそのものの需要がなくなる可能性は非常に低いためです。

近年、オンプレミス(従来型の社内ネットワークやサーバ)は主流でなくなり、クラウド化や自動化が進む中で「インフラエンジニアの仕事はなくなるのではないか」と言った声を耳にすることがあります。
また、2020年に起こった新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリモートワークが推進される世の中で、ネットワークやサーバの仕事はどうなるのだろうと考える人も多いと思います。

ですが、クラウドやIoTといった新しい技術の根本を担っているのもITインフラであることに変わりはなく、サーバーやネットワーク、セキュリティの知識・技術がなければ動きませんし、安全に運用できません。
インフラエンジニアも、今や当たり前にリモートワークで働いている人が多いです。

スマホやパソコンなどがある限りITインフラも存在し続けますし、クラウド化が自動化が進むほど、インフラエンジニアにとっては働きやすい環境になっていくでしょう。

未経験からインフラエンジニアになりたい人は、自分に向いている仕事と感じられ、努力と成長を怠らなければ、長期にわたって活躍できるでしょう。

未経験インフラエンジニアが目指すべき3つのキャリアパス

運用監視・ヘルプデスク

IT業界未経験やインフラエンジニア実務未経験の場合、運用監視・ヘルプデスクのオペレータとして経験を積むのがおすすめです。

なぜなら、最初から専門的な知識やスキルを必要とするポジションではないため、IT業界未経験者でも積極的に採用している企業が多いためです。

未経験でも独学でIT関連の勉強や資格取得していることをアピールすれば、転職できる成功確率が高まるでしょう。

おもな仕事内容としては、システム監視、障害対応、レポート作成、電話対応、ヘルプデスクなどです。
24時間365日体制の場合、夜勤ありのシフト勤務もあります。

未経験からインフラエンジニアになりたい!と思ったら、運用監視オペレーターからステップアップしていくのが王道のキャリアパスです。

運用保守

運用監視オペレータの次のステップとして、サーバーやネットワークの運用保守を行う「運用保守」という仕事があります。

運用保守は、現在稼働中のサーバやシステム、ネットワークなどの安全性と安定性を守り、稼働を止めることなく効率的なシステム運用を続けられるよう監視やメンテナンスを行う業務です。

具体的には、障害発生時の一次対応や問題の切り分け、機器交換などもあるため、監視オペレータやヘルプデスクに比べるとITインフラに関する専門的な知識が必要になります。

要件定義/設計・構築

インフラの「要件定義」「設計・構築」は、顧客が求める機能や仕様に沿って要件定義を行い、それを実際に形にしていきます。

要件定義、設計・構築は上流工程とも呼ばれ、運用監視、運用保守で数年ほど経験を積んだ後のステップとして多くの人が目指すインフラエンジニアの花形ともいえる仕事で、プロジェクトのマネージャーやリーダーが担当することが多いフェーズです。

インフラ監視や運用保守と比べると、「マネジメント力」や「ヒアリング力」といったビジネススキルも求められるので、仕事の難易度も高いです。

また、顧客のビジネスモデルを理解したり、インフラに関する専門用語も多く、日ごろから最新動向を取り入れるなどの自己学習が必要とされ、高い成長意欲と忍耐力が試されます。

その分、インフラエンジニアとしての市場価値も非常に高くなり、年収の大幅アップも期待できます。

一人前インフラエンジニアが目指すべき3つのキャリアパス

インフラの運用保守、設計・構築の業務経験を一通り積んで、一人前になったインフラエンジニアが進むべき代表的なキャリアパスには「プロジェクトマネージャー」「スペシャリスト」「ITコンサルタント」の3つに分けられます。

プロジェクトマネージャー(PM)~チームを率いてプロジェクトを成功させる~

プロジェクトマネージャー(PM)とは、その名の通り、プロジェクト全体の進行を担う責任者です。

インフラエンジニアの仕事はやることが多く、専門性も業務内容も多岐にわたります。

プロジェクト全体のまとめ役となり、進捗管理、品質管理、人材教育、顧客折衝など、勤務する会社によって任される仕事は様々です。

プロジェクト全体の責任を担っているため、顧客やプロジェクトメンバー、エンジニアに信頼されるような経験やスキルが求められます。

大きな責任を伴うポジションのため大変な面もありますが、チームやプロジェクトでリーダーシップを発揮したいという人におすすめなです。

また、自分が指揮の中心となって構築したITインフラが実際に企業や社会を支えているという大きなやりがいを実感することができる魅力があります。

プロジェクトを指導していくなかで、新人や後輩が成長していく様子を感じられることもマネージャーならではの喜びとも言えます。

責任を伴う大変な仕事の分、給与面のメリットも大きく、プロジェクトマネージャーの年収・給与は現場担当者よりも高い傾向にあります。

スペシャリスト~技術を極めた職人~

インフラエンジニアの最もメジャーなキャリアパスが「スペシャリスト」の道です。
スペシャリストは、今まで積み重ねてきたキャリアやスキルを掘り下げていき、深い専門知識やノウハウを持ったインフラエンジニアです。

プロジェクトやメンバーの管理を行うマネジメントの仕事よりは、技術の分野を伸ばしたい、極めたいという志向の人向きと言えるポジションです。

ITインフラのエキスパートとして、ネットワークエンジニア、サーバエンジニア、データベースエンジニアとして各専門分野の知識や技術を身に着けていくことで、昇進したり、インフラの専門企業に転職したり、技術力と経験を武器にフリーランスとして独立するなど、様々な働き方をすることができます。

インフラエンジニアとしてプロフェッショナルのレベルまでスキルを高めることができれば、市場価値は非常に高くなり、企業からは引っ張りだこの状態になり仕事に困ることはなくなるでしょう。

ITコンサルタント

ITコンサルタントは、顧客が抱えるITインフラのニーズや課題を解決していく職種です。
ITコンサルタントは、エンジニアとして長年培ってきたITインフラの構築や運用に関する深い知見と幅広い経験を活かして、顧客の課題を解決できるアドバイスを行います。

ITコンサルタントの仕事は会社によっても業務範囲の幅が広く、人によって得意分野も異なります。
インフラエンジニアからITコンサルタントにキャリアアップする場合は、ネットワーク、サーバ、クラウド、セキュリティなど自分の強みを活かすと良いです。

また、ITインフラに関する知識だけでなく、現在のITトレンドや世界情勢、経営戦略なども考えたアドバイスをしていくことになります。
そのため、ビジネス全般の知識や、様々な業界や最新技術の動向、プレゼン能力などが求められます。

ITコンサルタントとして、様々な業界・ビジネスの人と関わって、顧客から感謝・頼りにされながら仕事がしたいという人におすすめなキャリパスです。

女性エンジニアのキャリアパス

IT業界のエンジニアは男性の数が多く、女性エンジニアは数が少なく珍しい傾向にあります。
理系(特に情報処理分野)には男子が多く、女子が少ない傾向と同じです。

女性は結婚後の産休や育休といったライフイベントが発生する可能性がありますが、インフラエンジニアとしてのキャリアパス自体は男性と同じで、スキルを身に着けながら上流工程を目指していく流れとなります。
例え産休・育休が発生したとしても、一度身に着けたIT系のスキルは少々のブランクがあっても色あせるものではなく、今後の市場価値も高いと考えられるため、以前と同じような働き方ができる可能性が高いです。

ITエンジニア業界では、性別に関係なく評価されることが多いため、女性エンジニアも安心して男性と同じようなキャリアパスを描くことができます。

インフラエンジニアがキャリアアップするためにやるべきこと

地道にキャリアアップを続ける

インフラエンジニアのキャリアアップは多岐にわたりますが、マネージャーやスペシャリストなどにたどり着くまでのキャリア構築は難易度が高いと言えます。

日々の業務を着実にこなしつつ、最新技術のキャッチアップ、キャリアアップに役立つ資格取得など、とにかく身につけなければならないことが多いです。

未経験インフラエンジニアにとっては、身に着けることが膨大で遠い道のりに見えるでしょうが、多くの先輩インフラエンジニアと同じように一つ一つ取り組んでいけば道は開けてくるでしょう。

資格取得

インフラエンジニアとして理想のキャリアップをするためには資格取得をおすすめします。
なぜならインフラエンジニアに関する資格は社会的にも知識や技術の証明となるものが多く、キャリアアップや転職に役立つからです。

インフラエンジニアに関する資格はいくつも存在し、大きく分けて国家資格と外資系のベンダー資格の2つがあります。
ここでは、インフラエンジニアのキャリアパスに役立つ資格をいくつか紹介します。

国家資格

資格名 向いている人
ITパスポート ITに関する一般的な知識を身につけたい
基本情報技術者 IT業界に転職したい、ITに関する基本的な知識を身につけたい
応用情報技術者 ITの応用的な知識を身につけたい
ネットワークスペシャリスト ネットワークエンジニアとしての自分のスキルを証明したい
情報処理安全保障支援士 セキュリティエンジニアとしての自分のスキルを証明したい
データベーススペシャリスト データベースエンジニアとしての自分のスキルを証明したい

ベンダー資格

資格名 向いている人
マイクロソフト認定試験(MCP) マイクロソフトの基本的なスキルをアピールしたい
シスコ技術者認定試験(CCNA, CCNPなど) ネットワーク技術に関する知識・技術を証明したい
Linux認定技術者試験(LPIC, LinuCなど) Linuxに関する知識・技術を証明したい
オラクルマスター(ORACLE MASTER Bronze など) データベースに関する知識・技術を証明したい
AWS認定試験 クラウドサービスAWS(Amazon Web Services)に関する知識・技術を証明したい
ITIL認定試験 ITサービスマネジメントにおける知識・技術を証明したい

どの資格からチャレンジするべきか?

インフラエンジニアに関する資格は多岐に渡るので、未経験からチャレンジする場合はどれからチャレンジして良いか判断に迷うかもしれません。

その場合はネットワークの基礎が学べる「CCNA」、OS(Linux)の基礎が学べる「LPIC/LinuC」からチャレンジするのがおすすめです。

未経験からの転職の場合は、勉強していることだけでもアピールしていれば、採用する側にとっては好意的に見えるでしょう。

プログラミングスキル

インフラエンジニアにとってプログラミングスキルをつけることは重要です。

その最大の理由は「ITインフラの仮想化」、つまり「クラウド化」にあります。
クラウド化が進んでからは、ITインフラの土台であるネットワークやサーバはプログラミングによって動かすことができるようになりました。

ITインフラの土台を支えるインフラエンジニアの需要は今後もなくならないでしょうが、これからはITインフラ以外のプログラミングスキルも必要不可欠です。

人気なプログラミング言語は「Python」です。

組織内の業務改善や自動化には、ExcelなどのOffice自動化ができる「VBA」、GMailなどのGoogleサービスの自動化ができる「GAS(Google Apps Script)」を使えると役立ちます。

専門的なITスキル以外に求められるものとは?

インフラエンジニアにとって、ITインフラに関する技術力や知識が一番の武器となるのは間違いありません。

ですが、現場での実際の業務にはどんな仕事にも重要な「コミュニケーション能力」と「英語力」も求められます。

コミュニケーション能力

インフラエンジニアにとって、専門知識や技術と同じくらい大切なのがコミュニケーション能力です。

インフラエンジニアの仕事は、個人でもくもくと取り組むことが多い開発職と違って、チームとなって業務に取り組む場面が多いです。

自社で解決できないトラブルは取引先やベンダーに伝えたり、上流工程では顧客の要望をヒアリングしたり、などビジネスを前進させるためのコミュニケーション能力が求められます。

英語能力

インフラエンジニアにはIT知識以外にも英語のスキルも必要で、特にリーディング(英語を読む)能力があると良いです。

その理由は、ITインフラのサーバやネットワーク機器で不明な点やトラブル発生時に必ず確認するのが、ハードウェアやソフトウェアのマニュアル、ドキュメントなのですが、それが英語で書かれているケースが多いためです。

サーバーやネットワーク関連の機器、ソフトウェアのマニュアルは海外ベンダーの製品やサービスが多いため、英語で読み解くスキルが備わっているとスピーディーなトラブル解決に役立ちます。

これはベンダー資格にも同じことが言えます。

元々が英語で書かれたマニュアルや問題は、日本語としては不自然になるケースが見られる場合があり、元の英文を読み解くスキルがある方が有利です。

また、英語力があれば外資系企業に転職できるチャンスが増えるなど、今後のキャリアパスの選択肢が広がる可能性があります。

未経験からインフラエンジニアに転職する方法

未経験からインフラエンジニアに転職

未経験からインフラエンジニアになりたい場合は、IT資格の勉強をアピールしつつ、転職活動していくのがおすすめす。

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転職活動で自分のスキルや市場価値の棚卸ができて色々考えた結果、今の会社でもう少し頑張ってみようという結論であれば、それも全然OKです。

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まとめ

  • 未経験インフラエンジニアからのキャリアパス
    運用監視・ヘルプデスク、運用保守、要件定義/設計・構築、など
  • 一人前インフラエンジニアキャリアパス
    プロジェクトマネージャー、スペシャリスト、ITコンサルタント、など
  • 女性エンジニアのキャリアパスは男性と同じ
  • インフラエンジニアがキャリアップするためにやるべきこと
    資格取得、プログラミング・コミュニケーション・英語などのスキルアップ
  • 未経験からインフラエンジニアに転職するには大手を中心に「転職サイト」や「転職エージェント」にいくつか登録すればOK