IT業界への未経験からの転職や、エンジニアとしてのスキルアップのために、CCNAの取得を考えている人は多いでしょう。
今回は2020年に大幅アップデートされたCCNAの改定内容や、合格のための勉強方法などを解説します。
- CCNAってそもそも何?
- 改定後のCCNAは何が変わったの?
- 改定前に取得したCCNAはどうなるの?
- CCNA合格のための勉強時間や勉強方法を知りたい
この記事では、こういった疑問に答えて、改定後のCCNA合格のために必要な知識をサポートします。
実務未経験からインフラエンジニアに転職し、転職から半年以内でCCNAに合格した著者が分かりやすく解説します。
目次
【CCNA大幅改定!】改定後の内容・試験範囲・受験料・勉強方法などを紹介
- CCNAの改定ポイント
1. 複数の試験が1つになった
2. 試験範囲が広くなった
3. シミュレーション問題・シナリオ問題がなくなり選択問題・ドラッグ&ドロップ問題だけになった
4. 受験料が安くなった - CCNAの合格点、合格率は変わらないだろう
- CCNAの勉強方法は参考書や学習サイトが王道(スクールもあり)
「CCNA」とはどんな資格か?
「CCNA」とは、アメリカのシスコ(Cisco)が行っているネットワークエンジニアの技能を認定する試験です。
CCNAは世界共通基準の資格であり、IT業界のネットワーク分野では最も有名なベンダー資格です。
CCNAは、シスコの主力商品である
・Ciscoルータ
・Catalystスイッチ
・基礎的なネットワーク知識・技術
などがあることの証明になります。
スキルアップや昇進・転職に役立ち、ネットワークエンジニアの登竜門ともいえる資格です。
- CCNAはCisco Certified Network Associateの略
- シスコの正式名称はシスコシステムズ(Cisco Systems, Inc.)
- ベンダー資格とは、企業が自社製品に関する知識・技能が一定のレベル以上であることを認定してくれる民間資格です。
CCNA改定:複数あったCCNA試験が1つになった
CCNAは2020年2月24日に、従来のCCNAから大幅に改定されました。
この改定で大きく変わった内容としては、多くの分野に分かれていCCNA試験が、新CCNAとして1つにまとめられたことです。
また、かつては最も難易度の低い試験であった、CCENT(エントリー)も廃止されたことも大きな改定のうちの1つです。
この記事では、改定前後のCCNAの違いが分かるように、以下のような名称で説明します。
※「200-125J」とか「200-301」は、シスコが取り決めている試験コードです。
- 旧CCNA、旧CCNA(200-125J)
→ 改定前のCCNAのことです。 - 新CCNA、新CCNA(200-301)
→ 2020年2月24日の改定後のCCNAのことです。
主な改定内容:複数の試験が1つに統合
旧CCNA試験(200-125J)は以下のように細かく分けられてました。
旧CCNA(200-125J)は、以下の「CCNA Routing and Switching」の試験のことを差してました。
- CCNA Routing and Switching ※旧CCNA(200-125J)
- CCNA Cloud
- CCNA Collaboration
- CCNA Data Center
- CCDA
- CCNA Industrial
- CCNA Security
- CCNA Service Provider
- CCNA Wireless
また、旧CCNAは、以下の2つのうちのどちらかの方法で合格することで認定される試験でした。
- 旧CCNA(200-125J)を一発で合格
- ICND1(100-105J)とICND2(200-105J)を2回に分けて合格
※ICND1(100-105J)は「CCENT」と呼ばれてました。
※ICND:Interconnecting Cisco Networking Devicesの略。
※CCENT:Cisco Certified Entry Networking Technicianの略。シスコの試験の中で最も初級に位置づけされていた。
新CCNA(200-301)では、CCENT試験の廃止、CCNA Routing and Switching以外のCCNA試験が一つに統合されるなどの改定がありました。
- CCNA(200-301)
旧CCNAの扱いはどうなるのか?
旧CCNA資格を取得している場合、CCENTのみ取得、CCNAを取得、のそれぞれでCCNA改定後の扱いについて説明します。
CCENTのみ取得している場合の扱い
CCENT(エントリー)のみを取得していた場合は、残念ながらCCNA改定後は失効扱いとなってしまい、救済措置はありません・・・。
これは、CCNA改定後にCCENT自体が無くなってしまい、CCENTに該当する資格もないためです。
CCENTは入門レベルにあたる資格だったのですが、同じような資格がなくなってしまったのは残念ですね・・・。
旧CCNA(200-125J)を取得している場合の扱い
改定前の旧CCNA(200-125J)を取得した場合は、改定後でも影響はなく、CCNA資格を保有していると認められます。
CCNA資格の有効期限は、改定前と同じでCCNA試験に合格した日から3年です。
CCNA改定:試験範囲が変わった
新CCNA(200-301)の試験範囲・試験内容
新CCNA試験(200-301)の試験範囲・試験内容は、以下の6つの分野から出題されます。
新CCNAは、従来の細分化されていたCCNA試験の統一により、旧CCNAよりも試験範囲が広くなりました。
- 20% ネットワークの基礎
- 20% ネットワーク アクセス
- 25% IP コネクティビティ
- 10% IP サービス
- 15% セキュリティの基礎
- 10% 自動化とプログラマビリティ
各分野の左側に書いた%(パーセント)は出題比率です。
見て分かる通り、全ての分野でまんべんなく出題されてますね。
つまり、苦手分野がない状態でCCNA受験を受けることが大切です!
旧CCNA(200-125J)の試験範囲・試験内容
ちなみに、以下が2020年2月24まで行われていたCCNA(200-125)の試験範囲で、7つの分野から出題されてました。
旧CCNAでは、ネットワーク基礎、スイッチ、ルータ、WAN、インフラストラクチャに関する問題が中心でした。
- 15% ネットワークの基礎
- 21% LAN スイッチング テクノロジー
- 23% ルーティング テクノロジー
- 10% WAN テクノロジー
- 10% インフラストラクチャ サービス
- 11% インフラストラクチャ セキュリティ
- 10% インフラストラクチャの管理
CCNA改定:シミュレーション問題・シナリオ問題がなくなった
CCNAの大きな改定内容として「シミュレーション問題」と「シナリオ問題」がなくなりました。(2020年11月現在)
これは旧CCNAを受験したことがある人にとっては、何気にびっくりする内容ではないでしょうか。
というのも、旧CCNA(200-125J)では、実際にコマンドを入力する問題が1割ほど出題されており、これらの配点比率が高いという説があったのです。
つまり、CCNA改定後は、以下のような出題形式になります。
- 選択問題(単一 or 複数選択)
- ドラッグ&ドロップ問題
シナリオ問題シミュレーション問題
私が受けた試験はドラッグアンドドロップ問題と選択問題だけでした。
投稿日付: 2020/11/2シミュレーション問題がないので時間配分の壁がなかった
投稿日付: 2020/10/5改定前よりも簡単な印象。コマンド入力問題は無。シミュレーションも無。選択問題とドラッグアンドドロップのみ。
投稿日付: 2020/10/5Ping-t 「おめでとう♪合格体験記」より引用
Q: シミュレーション問題とシナリオ問題は出るんですか?
A: 今回、試験問題の種類について仔細にアナウンスしておりません。現時点ではシミュレーション問題とシナリオ問題は無いらしいとのことです。Q&A – Cisco Learning Day Vol.19 – 新 CCNA と CCNP のご紹介 より引用
CCNA改定:受験料が安くなった
2020年2月24日の改定に伴ってCCNAの受験料も変更されました。
従来のCCNAの受験料は「36,400円(税抜き)」でしたが、新CCNA(200-301)の受験料は「33,600円(税抜き)」となり、受験料が下がりました。
旧CCNA(200-125J) | 新CCNA(200-301) |
---|---|
▼1発で合格する場合 ▼2回に分けて合格する場合 |
33,600円(税抜き) |
CCNAの合格点・合格率は?
CCNAの合格点
CCNAの合格点は、公式では公開されていませんが、1000点満点中、825点以上なら合格する可能性が高いです。
合格に80%以上の正解が必要というと、かなり合格のハードルが高いと感じますよね。
実際には最低点が300点ですので、全問題のうち75%くらい正解すれば合格できると言われてます。
CCNAの合格率
CCNAの合格率についても、公式では公開されてませんが、合格率は30~60%と言われてます。
全体のうち半分も受からない可能性があるということです。
実際に私と同時期にCCNAに受験した人で勉強不足だと自覚していた人たちは、全員落ちました・・・。
合格率に幅があるのは、CCNAのバージョン改訂ごとに難易度は上がっているという受験者の感想は多いからでしょう。
そのため、CCNAの難易度は「合格率の印象ほど優しくはない」と考えたほうがよいでしょう。
CCNA合格に必要な勉強時間
CCNAに必要な勉強時間の目安は、約160時間ほどと言われてます。
1日8時間なら20日、1日4時間なら40日、1日2時間なら80日かかる計算です。
私は根拠もなく「数日間詰め込みで勉強すれば合格できるだろう」という甘い考えでした・・・。
CCNAをはじめとしたIT資格は、しっかり勉強しないと合格できないので必ず勉強時間は確保しましょう!
未経験の人が独学で学ぶ場合、2~3か月ほどは学習期間を確保しておいた方が良いでしょう。
未経験から独学で合格するには、ハードルが高い場面もあるでしょうが、コツコツと継続的に勉強していけば必ず合格への道は開けてきます。
CCNA合格のためのおすすめ勉強方法
実務未経験でも実務経験がある人でも、CCNAに合格するためのおすすめ勉強方法は以下の3つです。
- 書籍(参考書・問題集)
- 学習サイト
- 専門スクール
多くのCCNA合格体験談でも、参考書や学習サイトを使っている人がほとんどです。
専属の講師が教えてくれる研修・講習もありますが、会社の経費で受けられるならまだしも、個人が受けるとかなり費用が高くなるでしょう。
CCNA合格に向けて勉強を始めたはいいものの、「何から始めて良いのか、どの書籍やサイトを参考にすればよく分からない・・・」という方もたくさんいると思います。
ここでは、CCNA合格者が多く利用している書籍やWebサイトを紹介します。
CCNAの勉強方法1:参考書
1週間でLPICの基礎が学べる本
これはネットワークの実務未経験者が独学する場合のおすすめの本です。
CCNAの勉強を始めるにあたり、本格的な参考書や問題集、Webサイトから学習を始めると、基本的な知識があることが前提で書かれている内容があります。
そうなると、用語ひとつとっても意味が分からなくなり、日本語で書かれているのに何を言っているのかさっぱり分からないという状態になります。
この本は、ネットワークをこれから初めて学ぶ人に向けたレベルで解説されてるので「CCNA・ネットワークを学ぶためのはじめの1冊」としてオススメです。
シスコ技術者認定教科書 CCNA 完全合格テキスト&問題集
2020年2月の改定後に対応している本格的な参考書はこの記事を書いている時点では、この本しかないです。
それまでは「黒本」というCCNA受験者には有名な本もあったのですが、新CCNA(200-301)に対応した書籍はまだないようです。
この本では、
・はじめてCCNA試験に挑戦する人
・効率的に得点力をつけたい人
・1冊で合格までたどり着きたい人
といった人たちを対象としているテキスト&問題集です。
シスコ技術者認定教科書とありますが、問題集もあるためしっかりとCCNAに向けた勉強ができます。
テキストは体系的に整理されているところがメリットですので、教科書、辞書的に使うとおススメです。
CCNAの勉強方法2:学習サイト
インターネットにつながっていれば、自宅や職場から学習サイトを利用した勉強方法もおすすめです。
Ping-t
「Ping-t」(ピングティー)はCCNAを勉強する人にとっては有名で人気の高い国内最大級の学習サイトです。
Ping-tの特徴は、選択問題と丁寧な解説の「最強WBE問題集」や、コマンド入力の「コマ問」を通して合格に必要な知識を繰り返しコツコツと積み重ねていけることです。
また、CCNA合格者による「おめでとう♪合格体験記」ではホットな合格体験談を知ることができるなど、コンテンツが非常に充実しています。
CCNAイージス
「CCNAイージス」は、CCNAのWeb教科書です。
CCNA(200-301)の試験範囲の全ての技術解説があり、CCNAに合格するためのネットワークスキルを身につけることができます。
参考書を使わない場合、「Ping-t」で問題を解いて、解説を理解し、並行して「CCNAイージス」で体系的な知識を身に着けて学習するのが効率的です。
CCNAの勉強方法3:専門スクール
近年、プログラミングスクールが人気なように、インフラエンジニアやネットワークエンジニアを目指している人向けのスクールもあります。
私も講師が直接教えてくれるスクール型でCCNAの研修を受けたことがあるのですが、実際にスイッチやルータに触ったり、先生に直接質問できるという点では独学に勝るものがあります。
短期間でCCNAを取得して就職や転職に活かしたいと考えている人にはおすすめです。
- 未経験からIT資格を取得するなら【ネットビジョンアカデミー】
ネットビジョンアカデミーは、たった1ヶ月で未経験からネットワークエンジニア初級レベルまで育成が可能をウリにしているスクールです。
就職・転職・スキルアップをお考えの方は、まず体験会・説明会から参加してみるのをおすすめします。
地方に在住してるけど上京してエンジニアになりたいと考えている人には、研修・就職活動・シェアハウスがセットになった上京プラン もあります。
まとめ
- CCNAは大幅に改定された(複数の試験が1つにまとまる・試験範囲・受験料など)
- CCNA改定により試験範囲が広くなり難易度もあがったが、シミュレーション問題やシナリオ問題がなくなった
- CCNAのおすすめ勉強方法は参考書や学習サイト(場合によってはスクールもあり)